屋根は塗装か?カバー工法か?それぞれのメリット・デメリットを徹底解説
「屋根のリフォームを考えているけれど、塗装とカバー工法のどちらがいいの?」と悩んでいませんか?
屋根リフォームには大きく2つの選択肢があります。1つは既存の屋根を塗装する方法。もう1つは、スレート屋根などの上にガルバリウム鋼板など金属屋根を重ねる“カバー工法”です。
近年では、長期的なメンテナンスや快適性を重視して、カバー工法を選ぶ方も増えています。
そこで本記事では、「屋根を塗装する」場合と「カバー工法を採用する」場合のメリット・デメリット、また費用相場の目安などを詳しくまとめました。
家の築年数や屋根材の状態に応じて、どちらが適切かを考える際のヒントにしていただければ幸いです。
屋根材の種類とリフォーム方法の基本
一般的な戸建て住宅で採用される屋根材には、次の3種類がよく見られます。
- 日本瓦(いわゆる焼き物の瓦)
- スレート屋根(カラーベスト、コロニアルと呼ばれるセメント系)
- 金属屋根(ガルバリウム鋼板など)
なかでも、塗装を行うことが多いのはスレート屋根です。セメントと繊維で構成された板状の屋根材で、築15~25年程度経過すると防水性能が低下しやすく、塗り替えが検討されます。
しかし近年、「塗装ではなく、カバー工法によって屋根をリフレッシュする人が増えている」という事例も多く報告されています。下記では、その理由を費用面・耐久性・メンテナンス性などの観点から解説していきます。
屋根塗装のメリットとデメリット
塗装のメリット
- 初期費用が抑えられる
延床30坪ほどの戸建ての屋根塗装(屋根部分のみ)なら、足場代を除いて30万円前後が目安です。塗料のグレードによって上下しますが、カバー工法に比べると圧倒的に安く済むため、まずは塗装で対応したいという方も多いでしょう。 - 防水性能の回復
スレート屋根は表面の塗膜が劣化すると水を吸い込みやすくなり、波打ちや亀裂の原因になります。塗装を行うことで新たな塗膜を作り出し、雨水の侵入を防いで屋根材の寿命を延ばす効果が期待できます。 - 外壁塗装と同時に行いやすい
どうせ足場を組むなら外壁も一緒に塗り替えたい、というケースで塗装を選ぶ方は少なくありません。まとめてリフォームをすると工期短縮や費用削減に繋がることがあります。
塗装のデメリット
- 劣化サイクルが早い
屋根は日光(紫外線)や雨風を直接受けるため、同じグレードの塗料でも外壁より早く傷みます。たとえば外壁用で「15年持つ」とされる塗料でも、屋根では7~8年程度で防水性能が低下することがあります。 - 2回目、3回目の塗装が難しくなる
築20年以上のスレート屋根は、下地の防水シートも劣化している場合が多いです。上から何度も塗装を重ねても、根本的に雨漏りを防ぎきれないリスクがあります。また、ノンアスベストのスレート材は割れやすくなり、工事中に踏んだだけで破損する例もあるため、塗り替えだけでは限界があるケースが増えてきます。 - 保証が短いことが多い
外壁用の塗料は10年~15年の保証を設定している業者もありますが、屋根では防水保証が3~5年程度というパターンも珍しくありません。塗装そのものは問題なくても、屋根の劣化が早いぶん、繰り返し塗装が必要になる可能性があります。
カバー工法(重ね葺き)のメリットとデメリット
既存のスレート屋根の上にガルバリウム鋼板などを被せる「カバー工法」は、足場などの諸費用を除いても約100~120万円前後が目安(30坪程度の場合)と、塗装より初期費用が高くなりがちです。しかし、下記のような大きなメリットがあります。
カバー工法のメリット
- 長期間メンテナンスフリー
ガルバリウム鋼板など金属屋根は錆びにくく、商品によっては20~25年程度の穴あき保証がつくことも。一般的に屋根塗装のような定期的な再塗り替えは不要なため、トータルコストを抑えたい人にとっては有力な選択肢です。 - 断熱性・遮音性の向上
「スーパーガルテクト」のような断熱材入りの商品なら、夏の室内温度を抑制しやすくなり、エアコンの効きが向上すると言われています。また、金属屋根のデメリットである「雨音の大きさ」も、断熱材によって軽減されるため、室内環境が格段に快適になるケースが多いです。 - 雨漏りリスクが大幅に低減
新しい屋根で既存のスレートを覆う二重構造となるため、万が一上部から雨水が入り込んでも、内側の防水シートでしっかりガード。単純に塗装を重ねるのに比べ、雨漏りトラブルへの備えが強化されるのが魅力です。
カバー工法のデメリット
- 初期費用が高い
30坪程度で約100~120万円前後、場合によっては150万円を超えることもあります。塗装費用(30万円前後)とのギャップが大きく、最初の出費を抑えたい方にはハードルが高め。 - 重量が増す
スレート屋根の上にさらに屋根を重ねるため、わずかに重量が増します(ただし、スレートの撤去を行わない分、撤去費や処分費は発生しにくい)。瓦に比べれば金属屋根はずっと軽量ですが、念のため施工業者に耐震面を確認しておくと安心です。 - 施工業者の選択肢が限られる
カバー工法を行うのは板金職人の領域です。塗装を専門とする業者に頼むと、塗り替えを優先して勧められる可能性があります。塗装とカバー工法の両方を提案できる業者を選ぶほうが、家の状態に合った方法を見極めやすいでしょう。
それでもカバー工法を選ぶ人が増えている理由
- 長い目で見ると費用対効果が高い
一度カバー工法で仕上げれば、その後の塗り替えなどのメンテナンス費が大幅に減ります。結果的に、20年~30年スパンのトータルコストで見ると割安になる場合が多いのです。 - 室内環境が快適になる
断熱材入りの金属屋根を重ねれば、夏の室内温度や雨音が気にならなくなるという付加価値を得られます。特に2階や3階が熱気で辛い場合、冷房効率が上がる利点が大きいです。 - 雨漏り・下地劣化を根本的に抑えられる
スレート屋根自体が老朽化し、ノンアスベストで割れやすくなっている家に塗装だけを施しても、将来的な雨漏りリスクは否めません。カバー工法なら、古い屋根をそのまま包み込む形なので、下地の防水処理もしやすくなります。
結局、塗装とカバー工法のどちらを選ぶべき?
- 築10~15年程度で、スレートに大きなダメージがない場合
→ 塗装でも十分対応可能。比較的安い費用で防水性能を回復できるため、あとしばらく持たせたいという方には適しています。 - 築20~25年以降で、スレートの割れや下地の防水シートの劣化が心配な場合
→ カバー工法がおすすめ。初期費用は高めですが、長期的には塗装よりメンテナンス負担が軽くなり、安心して暮らせます。
業者選びのポイント
屋根塗装専門の業者に依頼すると、どうしても「塗装で直せますよ」と勧められがち。一方、カバー工法に対応していない業者も珍しくありません。両方の方法を提案できるリフォーム会社であれば、自宅の状態をしっかり点検したうえでベストな選択肢を提示してくれるでしょう。
おわりに
屋根の塗装かカバー工法か――これは、「短期的な費用を抑えるか、長期的なメンテナンス性と安心感を重視するか」の選択ともいえます。
- 塗装は初期費用が圧倒的に安い反面、劣化サイクルが早く何度か塗り替えを行う必要が出てきます。
- カバー工法は最初のコストが高めですが、長期的には費用対効果が高く、雨漏りや断熱性の面でも優位とされます。
最終的には、築年数や屋根の傷み具合、ライフプラン(何年先まで住むのか)などを総合的に考慮して決めるのが賢明です。まずは屋根の現況をプロに点検してもらい、写真やドローン映像などを見ながら納得いくまで相談することをおすすめします。
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